漆黒の鳥
著作名
漆黒の鳥
著者
ジョエル・ローズ
ジャンル
歴史ミステリ
星の数
★★★
出版社
早川書房
原作出版
2007
備考

1841年7月28日、ニューヨーク近郊ホーボーケンの川岸で、若い女性の死体が発見された。女性の名はメアリ・ロジャーズ、21歳。ニューヨーク市で煙草屋の看板娘をしていた人気者だった。両手を縛られ、激しい暴行を受けたうえで遺棄されたものらしい。新聞はこの事件を大きく報道し、ニューヨークっ子は事件とその捜査の推移に熱狂した……

この事件の報に接し、またメアリと面識もあったことから興味を抱いたある作家が、現実の事件を再現し、その真相までを同時進行的に明らかにするという作品を発表した。作品のタイトルは『マリー・ロジェの謎』、著者はエドガー・アラン・ポー……

回転式拳銃を考案したサミュエル・コルトの弟であるジョンは、獄中にあった。トラブルから殺人を犯し、絞首刑を待つ身だった。富豪であるコルト一族は、ジョンを救うため、手段を選ばないという噂だったが、裁判では敗れ、処刑の日が迫ってくる。残された方法は……

ニューヨークの治安を預かる夜警隊のヘイズ親方は、メアリ・ロジャーズ事件を追っていた。やがて彼の前で、複雑に糸が絡まりあうように、人々の運命が重なり始める。メアリが、ポーが、そしてコルトが、事件の真相が明らかになるとき、彼自身の運命もまた大きく変転するのだった……

19世紀ニューヨークでセンセーションを巻き起こし、いまなお謎を孕んだままのメアリ・ロジャーズ殺人事件。19世紀版ブラック・ダリアともいうべき魅力ある事件を、実在した歴史上の人物を巧みに操って大胆に推理する、歴史ミステリの逸品!


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