真夜中のあとで
著作名
真夜中のあとで
著者
アイリス・ジョハンセン
ジャンル
サスペンス
星の数
★★★
出版社
二見文庫
原作出版
1997
備考

遺伝子治療の研究に携わっているケイトは、天才科学者ノアから彼が開発中の薬品RU2の共同研究の要請を受けていた。RU2とは、あらゆる病気に対して画期的な効果をもたらすと言う夢の薬だった。これまで不治とされてきたAIDSやアルツハイマー病ですら治すことができる―だがそれは、同時に人間の欲望という病を引き寄せた。RU2の利権を奪い取ろうとする人間がありとあらゆる妨害工作を仕掛けてきた。ノアはRU2とケイトたちを守るため旧友である傭兵セスを呼び寄せる。彼は優秀だが同時に危険な男でもあった…。小柄で美貌のケイトはその外見とは裏腹に、何があろうとも決して戦う気概を失わない、エネルギーに満ちた女性。そんな彼女に惹き付けられていくノアとセスの二人の男たち。天才科学者であり名料理人であるノアとピーターパンのようないたずらな面を持ちながら冷酷非情な殺人者でもあるセスという、魅力的なキャラたちの絡みあいがとてもいい。

訳者(池田真紀子)あとがきより

主人公ケイトは二十九歳、優秀な医学研究者。遺伝子学を応用した画期的な治療法の完成を目指して研究に没頭している。

ある日、ケイトの目の前で、二年前に別れた夫マイケルが自動車にしかけられた爆弾で殺される。マイケルは麻薬取締課の刑事だったため、誰もが麻薬流通組織の復習だろうと考えた。

ところが、真のターゲットはケイトだったと主張する人物がひとりだけいた。多額の報酬を提示して、ケイトを自分の製薬会社に引き抜こうとしていたノアという男だ。彼は、製薬業界の大物がケイトと自分の命を狙っている、家族を守りたいなら自分と一緒に来いと熱っぽく話す。

どんな理由で命を狙われているのか、ノアは何を知っているのか、ノアと一緒に行けば本当に安全なのか……ケイトは迷う。しかし、ふたたび家族の命が危険にさらされたとき、九歳になる息子ジョシュアを守るため、義母のフィリスを守るために、ケイトは心を決める。

ノアの用意した山中の隠れ家で、ノアの親友セスを用心棒がわりに過ごす日々。迫りくる危険に怯えながらも、安定を象徴するノアと、波瀾を象徴するセスの二人の男たちの間で、ケイトの心は揺れ動く。やがて二人のうちひとりが……。

この先はもう実際に読んでいただくしかない。そして、意外な結末まで、ぜひケイトと共に怯え、怒り、驚き、喜んでいただきたい。


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