ブラック・リスト
著作名
ブラック・リスト
著者
サラ・パレツキー
ジャンル
女性私立探偵
星の数
★★★★
出版社
早川書房
原作出版
2003
備考

NYを襲った同時多発テロは、アメリカ国民に深い傷跡を残した。そう、わたしの心にも。恋人でジャーナリストのモレルがアフガン取材に出て戻ってこないのだ。わたしは何度も帰国を促したが、モレルは「きみのほうこそ、もっと悲惨な状況をくぐり抜けてきたじゃないか」といって取り合ってくれない。募る不安から、わたしはより熱心に仕事に打ち込むようになった。
そんな矢先、得意客のグレアムから依頼があり、わたしは飛びついた。なんでも、彼の母親が以前住んでいた邸宅に不法侵入者の気配があるので調べてほしいという。さっそく訪れた無人のはずの邸には、なぜか少女の姿が。わたしは話をしようと追いかけたが、足を滑らせて庭の池に落ちてしまった。必死で水草を?もうとして手にしたのは、なんと死んだ男性の手。
警察によれば、その男性は黒人ジャーナリストだという。だが、白人が支配する高級住宅地担当の保安官は面倒をさけるため、自殺の線で処理しようとした。そんなのは納得がいかないし、逃げた少女のことも気にかかる。わたしの闘いがはじまった!

シカゴの女性探偵V・Iがポスト9・11のアメリカを駆ける。ヒロイン・ハードボイルドの頂点を極めた著者が贈る、V・I・ウォーショースキー・シリーズ最新傑作。

ferrari36のレビュー、ウィッシュリスト、"リストマニア"リスト
 今を生きるVI, 2005/3/21
実は原書で読むVIは今回が初めてでした。山本やよいさんの訳もとても素晴らしいのですがやはり原書で読むVIも捨てがたいです。VI独特の皮肉っぽいユーモアや怒りが募るにつれ辛らつになる口調など「これだよねー」という感じ。元々社会性の高い題材の多いパレツキーですが今回は同時テロ以降のアメリカ社会に蔓延した言われなき「エネミー・オブ・ザ・ステート」に対するヒステリックさとかつての「赤狩り」の時代の背景に伏線を張るようにしてマイノリティであるポーランド移民の子供であるVIの権力に対する怒りも反映しながらアメリカ社会に潜在する矛盾点をもあぶりだす力作になっています。もっとも一番面白いのはやっぱりVIと依頼主や警察当局との丁々発止のやりとり、そしてボビーおじさんやコントラーレスおじさんとの辛らつながらも心温まる会話ですねー。楽しめますよ。
海外ミステリの本棚 より

inserted by FC2 system