盗まれた手紙を含む
著作名
盗まれた手紙
著者
エドガー・アラン・ポー
ジャンル
ミステリ
星の数
★★★
出版社
各社出版
原作出版
1845
備考

秋のとある宵、パリのデュパンの部屋で彼と私が寛いでいるところへ、警視総監のG氏が困惑顔で訊ねてきた。宮廷の高貴な御婦人の手元からこの上もなく大切な手紙が盗まれてしまったという。夫人はD大臣が手紙をすりかえるのを見ていながら、それをやめさせることができない状況にあった。D大臣はその手紙を政治的に利用し始めており、事件を公にするわけにもいかないので、ひそかに総監に依頼したのである。

彼はここ数ヶ月かけてD大臣邸を隈なく捜索したという。また、直接大臣を身体検査したこともあるが、手紙は発見できなかった。総監はお手上げ状態となりデュパンに助言を求めに来たのだった。彼は手紙の形状を訊くと、もう一度完全に屋敷を探すのですなと素っ気なく答えた。

一ヵ月後また総監がやってきた。手紙はまだ見つけられないという。婦人が倍にした額の報酬の小切手を書いてくれれば、デュパンは手紙を渡すと答えた。驚愕しながらも総監が小切手に署名をすると、デュパンは抽斗から手紙を取り出し彼に渡した。

そのあとデュパンは私に、彼がどのように推理し、そして実際にD大臣の部屋のどこから手紙を見つけたか語ってくれた。デュパンには、彼が手紙を隠匿するのに、全然それを隠そうとはしないという遠大で賢明な策をとったのがわかっていたという。


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