ニューヨークの高級レストランで月に一回開かれる女人禁制の歓談会。
メンバーは、科学者、数学者、弁護士、画家、作家、暗号専門化の六人に、給仕一名。
毎回ゲストが招かれ、自分の出会った辻褄の合わない出来事や不思議な体験を語り、その謎解きが始まる――という単純な構成だが、こういう趣向はありそうでない。
凡庸なるワトスン役を引き連れた天才名探偵による一方的謎解き、というのが古典推理小説のパターンなのだ。
アシモフはそれを凡庸なる6人の知識人と天才的な一人の給仕という関係にひっくり返してみせ、彼らに侃侃諤諤の論戦を戦わせる。
この推理合戦の楽しさは、あらゆる短編推理のトップに位置するといって良い。