笑う警官
著作名
笑う警官
著者
マイ・シューヴァル&ペール・ヴァールー
ジャンル
警察ミステリ
星の数
★★★★
出版社
角川文庫
原作出版
1968
備考

ストックホルム、1967年11月13日、午後11時3分。
赤い二階建てバスが終点間近で歩道にのりあげ、鉄柵にモロにのめりこんでいった。冷たい雨が降りそそぐなか、ベトナム反戦運動のデモ隊が荒れた一夜だった。

バスの中は修羅場と化していた。機関銃から67発の弾丸が発射され、8名の男女が殺され、一人が瀕死の重傷を負わされたのだ。そしてその8名のなかには、ストックホルム警視庁殺人課主任マルティン・ベック警視の一番若い部下、ステンストルム刑事も含まれていた。彼の右手には拳銃がしっかりと握られていた。この日ステンストルムは非番のはず、いったいバスのなかで何をしていたのだろうか?

ベック以下、コルベリ、ラーソン、メランデル、ルン、おなじみの刑事たちの捜査が開始されるが、唯一の生き証人だった重傷の男も、病院で謎の言葉を残してこと切れてしまう。バスに乗っていた9名には何のつながりもなく、偶然その二階建てバスに乗り合わせた者ばかりだった。単なる狂人の仕業なのだろうか。ベックたちの必死の捜査は続けられた。

ステンストルムの恋人から死んだ刑事の異様な性生活を聞き出すコルベリ、唯一の目撃者が死ぬ前に残した言葉の解明にあたるルン、アサールソンという被害者に焦点を絞るラーソン、身元不明の被害者の身元を割りだす応援部隊のノルディン、抜群の記憶力を持つメランデルも何かひっかかるものが……。そして、マルティン・ベックはステンストルムが16年前の迷宮入り殺人事件を再調査していたことを突き止める。“ベック一家”の粘り強い捜査が、ようやく一本の線となって結ばれていく。

マルティン・ベックのシリーズ代表作。


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