チャーリー・マフィン

「海外ミステリ・ガイド」仁賀克雄著(1987)より一部抜粋

ブライアン・フリーマントルのスパイ小説はすっかり日本に定着したが、それは1977年の「消されかけた男」の主人公のチャーリー・マフィンのキャラクターによるところが大きい。マフィンはイギリス情報部の現地勤務二十五年の工作員である。過去には手柄を立てたこともあるが、学歴もない五十男は組織の近代化に伴って排除されようとしていた。ちょうど余剰サラリーマンの窓際族化に似た境遇にマフィンも追いやられる。

ところがマフィンはしたたかで、情報部長の秘書を愛人にし、英米の情報部を相手に一芝居打ち、五万ドルを手に入れ、妻のイーディスと共に偽名を使ってヨーロッパに逃亡してしまう。マフィンはこの作品で人気者になり、シリーズ化された。そこで隠退していたマフィンは再びイギリスへ渡り、英米情報部と対決するが、妻を殺されてしまう。その後もマフィンは逃亡を続けながら、香港、アメリカと舞台を移し、活躍を続けている。

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