87分署の刑事たち

「海外ミステリ・ガイド」仁賀克雄著(1987)より一部抜粋

エド・マクベインの87分署シリーズは、1956年の「警官嫌い」からはじまったのだが、ニューヨークをモデルにしたアイソラ市の分署には個性豊かな警官たちが登場し、集団ドラマとして複数の刑事が人気者になった。スティーヴ・キャレラは87分署の二級刑事である。三十代半ばの身長六フィート(183センチ)の筋肉質な男で、タフだがやさしいリーダー格。美人で啞の妻テディとの間には男女の双生児がいる。

マイヤー・マイヤーはユダヤ人の二級刑事、まだ三十代だというのにつる禿で、温厚な辛抱強い男である。ロジャー・ハヴィランドは三級刑事の大男で腕力が強く、行動はすばやく、刑事として生まれたような男だ。声が大きいので容疑者は恐れをなしてしまう。ハル・ウィリスは小男の三級刑事で、華奢な体格だが柔道の達人、小内刈り、背負い投げ、巴投げが得意で、同僚の危機を救う。唯一の黒人刑事にアーサー・ブラウン、赤毛の大男コットン・ホース、若くハンサムなバート・クリングなどがいる。

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