コーデリア・グレイ
「女探偵で読む!ミステリ読本」アスペクト(1999)より一部抜粋
- 本名
- コーデリア・グレイ
- 年齢
- 22歳
- 容姿
- 明るい茶色の髪と、茶色がかった緑の大きな目。広い頬骨。やさしい、子供っぽい口元。
- ファッション
- おしゃれが大好きで、捜査に行く時もその場にふさわしい格好をするように細心の注意を払う。
- 時計
- ショック=ウォーター・プルーフ。バーニイの遺品のひとつ。
- 性格
- 几帳面で真面目さに加えて、正義感が強い。「真実は常に重大な事」だと考えている。
- 職業
- 私立探偵。探偵事務所経営者。探偵は女には向かない職業だといわれ、コーデリアはこう答える。「バーで働くのと変わらないわ。いろいろな人に会うという点では」。
- 職場
- プライド探偵事務所。見つけづらいビルの3階にある。明るい印象を与えるため、壁は淡い黄色に塗られ、洗濯したてのカーテンのおかげで部屋は一応はきちんと清潔に見える。少しでも平らな場所には植物が置かれている。ちなみに客に出すコーヒーはインスタントのもの。
- 依頼料
- 1日5ポンドと必要経費。
- 経営
- 苦しい。出費は1ペニーに至るまで節約し、バーニイの遺品のひとつであるジャットランド戦争の絵のついた古いタバコの缶に週10ポンドずつ貯金できるよう、心がけている。
- 捜査方針
- ひとつの事件を捜査中はほかの事件は引き受けない。盗聴と工場のサボタージュには手は出さない。
- 住居
- 以前はバーニイと同じクレモナ・ロード15番地にある家に、部屋を借りて住んでいたが、現在はロンドンのテームズ・ストリートにあるアパートの最上階に住んでいる。父親が遺してくれたパリにある土地を売ったお金で買った。
- 生活環境
- 自室の窓からは街の通りやロンドン市内の高い塔、ビルディングが良く見える。シャワーと狭い台所があり、家具調度は古道具屋などで買い集めた。広い居間には一方の壁がすべて本棚になっており、食事と書き物兼用のテーブルは傷だらけである。私生活を大事にし、友人や探偵事務所の人間をアパートに呼んだことはない。
- 経歴
- 生まれてすぐに母親を亡くし、義母は次から次へと変わった。旅を続ける革命家である父親のために、住居も学校も説明できないほど次々と変わる。11歳の時に修道院に入り、6年間をそこで過ごした。成績もよく将来はケンブリッジに進学することを思い描いていたが、16歳になり彼女が義務教育を終えると父親に呼び戻された。彼と彼の同志たちのための雑用いっさいを任されて、彼らとともに放浪生活を経験することになる。
- 結婚歴
- 未婚
- 同居人
- なし。ひとり暮らし。
- ペット
- 猫のトムキンス。片目の周りと前脚の先だけ白く、しっぽは横縞入りという黒猫。ヴィクトリア駅の裏手のビルの陰から餓死寸前のところを拾ってきたのだが、捨てるに忍びなく、事務所の裏側の部屋に古い皿とクッション付きバスケットをあてがった。少しだけ開けてある窓を抜けて部屋づたいに毎晩遊びに出かける。
- 肉親
- 母親=コーデリアを生んだ後すぐに死んでしまった。
父親=旅回りのマルキシスト詩人で革命家。ローマで心臓病のために死亡。
- 恋人
- 恋愛行為は過大評価されているという考えを持っている。ジョルジュとカールというふたりの男性と恋愛経験があるがどちらとの情事も、父親や義母たちとの生活のなかで彼女が渇望していたものを与えてくれたわけではなかった。処女性については、一時の不便な状態、若さの持つ脆弱さのひとつにしかすぎないと思っている。
- 武器
- 38口径のセミ・オートマティックのピストル。バーニイがコーデリアに残してくれた遺品のひとつ。
- 特技
- 速記とタイプを習得しており、秘書の仕事の経験がある。また、バーニイから、彼が首都警察犯罪捜査部で学んだ、犯罪現場の捜査方法や証拠物件の集め方、護身術の基礎、指紋の採取法などを教わった。
- 趣味
- 絵を見るのが好きで、美術館で憩いのひと時を過ごす。本も好きで、捜査で立ち寄った本屋では、本をあさり歩きたいという誘惑に襲われる。
- 家事
- 仕事で疲れて帰ってきても、きちんと掃除をし、自分で料理をして食事を取る。私生活においても几帳面で、真面目な性格。
- 車
- バーニイが遺していったミニクーパーを使っている。
- パートナー
- バーニイ・G・プライド。元プライド探偵事務所所長でコーデリアの上司でありパートナーだったが自殺した。探偵事務所を開く前は、首都警察の犯罪捜査部でダルグリッシュ軽視の部下として働いていた。生前、警視を非常に尊敬していた。べリンジャー事件は探偵として彼が手掛けた事件としては唯一の成功例である。
- 助手
- ベヴィスとミス・モーリイ。ふたりとも探偵事務所の正社員ではなく、ミス・フリーリイの経営する「便利屋」の社員で、事務所の財力が許す場合に1週間単位で雇っている。秘書としては決して有能とはいい難いが、ふたりとも正直で時間厳守。
- ライバル
- アダム・ダルグリッシュ。首都警察犯罪捜査部の主任警視。彼がまだ警部だった頃にバーニイ・プライドの上司であった。浅黒く、背が高く、ほっそりしている。顔は繊細そうだが弱々しくはなく、皮膚の下の骨格が感じとれるような顔つき。態度は優しく穏やかである。コーデリアに対してはちゃんと成人に対するように話しかけ、「叔父様」ぶったり、子供扱いしたりしない。
コーデリアはダルグリッシュが、バーニイを警察から追い出したことをうらんでいるが、同時に尊敬の念も抱いている。
- 捜査道具
- 犯罪現場用の、証拠集めに使うピンセット、はさみ、指紋採取用器具、ピンなど、バーニイが用意したもの。
- 捜査方法
- 彼女の捜査方法の大部分はバーニイから教わったものであり、それはバーニイの元上司、ダルグリッシュ警視の捜査方法でもある。「建物を調べる時には……まずまわりを歩いてみる。内と外とをすっかりみまわる。それから推理するんだ。見ようとしてきたもの、みたいと思ったものではなく、自分の眼で見たものだけをだ」「探偵捜査にはしつこいぐらいの粘り強い根気が必要なのだ」「不必要な嘘を決してつくな。真実こそ最大の威力を持つのだ。たいそう頭のいい犯罪者が捕らえられるのはなぜか。肝要な嘘をひとつつくからではない。真実を語るほうが安全なのに、つかなくてもいいくだらぬ嘘をつき続けるからなのだ。(これを聞いた時、彼女は犯罪者にこそふさわしいアドバイスだと感じたが、彼女の役に立つことになる)」「証拠は決して捨ててはいけない」。
- 好きな町
- ケンブリッジ。「幸福に、安らかな気分にひたれる」と気に入っている。