キデオン・フェル博士

「海外ミステリ・ガイド」仁賀克雄著(1987)より一部抜粋

ジョン・ディクスン・カーが創造した名探偵は、初期のアンリ・バンコラン、ゴードン・クロス、マーチ大佐、キデオン・フェル博士、ヘンリー・メリヴェール卿などいるが、後の二人が有名である。

フェル博士は1933年「妖女の隠れ家」で登場した。年齢不詳だが、哲学博士、法学博士、王立歴史学協会員、スコットランド・ヤード顧問などの肩書きからして50歳は越えている。かなりの肥満体でピンク色のまん丸な顔、口髭を生やして黒い眼鏡を掛け、白髪まじりの蓬髪である。いつも黒いマントを着て、フェルト帽を冠っている。バンド音楽、メロドラマ、ビール、コメディを好む。初めはイングランド中東部リンカーンシャー州チャーターハムに住んでいたが、ロンドンのアデルフィ・テラスに移り、更にハムステッドに引っ越している。小柄の妻が時々顔を見せる。初期はタッド・ランポールというアメリカ青年が助手役を務め、のちにスコットランド・ヤードのハドリイ主任警部が相手役となる。不可能犯罪や密室の解明を得意とし、「三つの棺」では有名な密室講義がある。

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