ジュール・メグレ警視

「海外ミステリ・ガイド」仁賀克雄著(1987)より一部抜粋

メグレ警視

フランスの代表的名探偵メグレ警視が登場したのが、1929年の「怪盗レトン」である。ジョルジュ・シムノンの書いたメグレは、ジュール・アメデ・フランソワ・メグレといい、1887年フランス中部アリエ県サン・フィアクル村で生まれる。父は村の城館の管理人だった。1908年医学校を辞め、パリに出て警察官となる。1912年にルイーズと知り合い結婚。女の子が生まれたがすぐ死亡し、以後二人暮し。1913年パリ警視庁刑事となり初手柄を挙げる。1916年警部補、1926年警視、1931年警視長となり1954年に定年退職する。これがメグレの履歴である。

身長180センチ、体重100キロの大男で、いつもパイプをくわえて放さない。温厚な人柄だが、捜査の鬼であり、足と自転車でこつこつと事件を追及し、心理的洞察に優れ、犯人を自供に追い込む。ヘビー・スモーカーでアルコール好きな、人間味のあるメグレは、ミステリの世界を越えて、その人物像が読者の胸に生きている。

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