ジェーン・マープル

「海外ミステリ・ガイド」仁賀克雄著(1987)より一部抜粋

ジェーン・マープル

ジェーン・マープルは1930年「牧師館の殺人」で登場した。ミドルシャー州セント・メアリ・ミード村に住む上品で小柄なハイ・ミス。編み物や刺繍、庭いじりの好きな田舎のお婆さんだが、一面大変な情報通、といってもゴシップの収集家で、この村に来てから同好の女性を情報網に入れ、彼女の頭のなかに蓄積された情報量は膨大なものである。それに好奇心と詮索癖が加わるから、村内で起こった事件なら掌を指すよう何でもわかる。現代でいえばコンピュータで整理されたデータを分析、推理して犯人を当てるようなものである。マープルの頭脳はゴシップ・コンピュータで、遺作の「スリーピング・マーダー」まで13作の長編と数多い短編で、彼女の灰色の脳細胞を総動員して事件を解決している。

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