エルキュール・ポアロ

「海外ミステリ・ガイド」仁賀克雄著(1987)より一部抜粋

エルキュール・ポアロは1920年「スタイルズ荘の怪事件」で登場した。ベルギー人でブラッセル警察に勤務していたが、第一次世界大戦でイギリスに亡命、エセックス州スタイルズ・セント・メアリ村に落ち着く。そこで旧友アーサー・ヘイスティング大尉と出会い、スタイルズ荘の世話になった女主人が殺される事件が起こり、ポアロは大尉やジャップ警視に助言し、見事に事件を解決する。

ポアロは5フィート4インチ(163センチ)の小柄で、卵形の頭をちょっと傾け、眼を緑色に輝かせ、蝋でかためた口髭をひねりながら、「灰色の脳細胞」を働かすある。1924年、大尉がアルゼンチンに渡ると、ポアロはキングス・アボッツ村に引きこもり、かぼちゃの栽培に精を出すが、ここで「アクロイド殺害事件」を解決する。27年に大尉が帰国すると、ロンドンのファラウェイに移り、私立探偵事務所を開く。30年に大尉の再渡航でポアロはホワイト・へヴン・マンションに移り、召使のジョージや女秘書のレモンと暮らしていた。最後の事件「カーテン」では舞台は再びスタイルズ荘に移り、膝の関節炎で車椅子生活を送るポアロが、アルゼンチンから帰国したヘイスティング大尉と30年ぶりに再会し、その直後に劇的な最後で、自ら人生に幕を閉じている。

inserted by FC2 system