ダイアルAを回せ

有名人のスキャンダルを売り物にした雑誌の発行主のボディガードが、“正義の鉄槌”の犠牲者たちにボス殺しを持ちかけられる「正義の味方」、政治家の夫（実は元泥棒）の脅迫者を片付ける依頼を野心家の夫人から受けた殺し屋が、同時にその婦人殺しを尻に敷かれっぱなしの夫に依頼される「政治の道は殺人へ」、心理学の研究のため、殺人請負を示唆する広告を新聞に出した大学教授を待っていた予想外の展開を描く「殺人はいかが？」など、奇抜な着想とひねりのきいたストーリー、軽妙なユーモア、無駄を削ぎ落とした簡潔なスタイルは本書でも健在。短編ミステリの名手が腕によりをかけた十五の逸品を取り揃えて、楽しい読書の一時をお約束いたします。