豚たちの沈黙
著作名
豚たちの沈黙
著者
ジル・チャーチル
ジャンル
ミステリ
星の数
★★★
出版社
創元推理文庫
原作出版
1996
備考
本書解説(武宮直樹)より

ジェーンたちの近所に新しくデリカテッセンが開店、高校を卒業した長男マイクが(そう、ついに卒業なのです!)、大学の始まるまでの間、そこでアルバイトすることになります。
ところが開店記念パーティーの最中、店の倉庫で弁護士がハムの下敷き、もとい、ハム用ラックの下敷きになって死んでいるのが見つかります。
このラックが偶然の事故で倒れるようなものではなかったということから、殺人の疑いが濃厚。

死んでいた弁護士というのが、「二十四時間市内全域禁煙」とか、「レストランのメニューに栄養表示の義務付け」など、世のため人のためと見えて、よけいなお世話としか言いようのない、自分のわがままのための条例を片っ端から議会に可決させようと運動していた、このあたりでは有名な迷惑親父。
無論このデリカテッセンの開店にも大反対。
そんなわけで、彼を嫌っていた人物は山といるのですが、殺そうとまで思いつめていた人物は誰か?
何でまた、ラックを倒すなんて不確実な方法を採ったのか?
疑問は次から次へと浮かんできます。

一方、よりにもよって息子のバイト先で殺人事件が起きたとあって、母親たるジェーンは気が気ではありません。
店で殺人事件が起きたからといって、単なるアルバイトのマイクにまで危険が及ぶわけではない。
理屈ではそうわかっていても、心情として安心できないのが親の性。
そこで、息子のため――というよりは、単に持ち前の好奇心のせいかもしれませんが――またも事件の真相究明に乗り出すのです。


inserted by FC2 system