赤毛のレドメイン家
著作名
赤毛のレドメイン家
著者
イーデン・フィルポッツ
ジャンル
本格推理
星の数
★★★
出版社
創元推理文庫
原作出版
1922
備考

ロンドン警視庁の刑事マーク・ブレンドンは、ダートムアで釣をしながら休暇を過ごしていた。ある日の夕方、鱒の釣り場であるフォギンター石切場へ出かける途中、彼は目を見張るような美人とすれ違った。清楚で愛らしく、こんなに美しい人が世間にいようか、と思われるほどだった。

そのあと、彼はもう一人、印象的な人物と出会った。赤いチョッキを着、口ひげを生やした大男で、髪は燃えるような赤毛だった。ブレンドンはあずかり知らぬことだったが、この二人はその後に彼を巻き込む不思議な大事件の主役だったのである。

その事件は、数日後におこった。
フォギンター石切場近くのバンガローで、マイケル・ペンディーンという人物が義理の叔父のバート・レドメインに殺されたらしい、という通報がホテルにいたブレンドンのもとへ届けられた。翌日、マイケル・ペンディーンの妻ジェニーに会って、ブレンドンは驚いた。彼女は、夕焼けのなかですれ違ったあの美しい女性だったのである。

ジェニーの話から、彼女の叔父ロバート・レドメインが、例の赤毛の大男であることも明らかになった。彼は初めジェニーの夫マイケルを嫌っていたが、実際に会ってからは仲がよくなり、事件当日も一緒に建設中のバンガローを見に行ったという。そこで、惨劇がおこったらしい。死体は見つからなかったけれども、ロバートがマイケルを殺したことは明らかだった。現場には大量の血が流れており、赤毛の大男が大きな袋を荷台に乗せてオートバイで逃げてゆく姿を、何人もの人が目撃していたからである。ところが、ブレンドンの捜索にもかかわらず、この赤毛男はその後、行方知れずとなってしまった。

事件後、ジェニーは、ダートマス海岸にあるロバートの兄ペンディゴー・レドメインの家に移り住んだ。彼女からその通知を受け取ったブレンドンは、ダートマスへ出掛けた。彼はますますジェニーに心ひかれるようになっていたのである。が、その彼の前にロバート・レドメインが姿を現わし、第二の惨劇が始まった。

三段構えの逆転と、息もつかせぬ文章の味は、万華鏡の如く絢爛として緻密であり、サスペンスに富み、重厚無類のこくがある。ミステリ史上に燦然と輝く長編推理小説の傑作。


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