容疑者
著作名
容疑者
著者
ローラリィ・R.ライト
ジャンル
ミステリ
星の数
★★★
出版社
二見文庫
原作出版
1985
備考

本書はミステリの中でも倒叙といわれるジャンルに入る作品だろう。第一章で殺人が行われ、読者には犯人も被害者もわかっている。そして警察の捜査がはじまり、犯行の動機が明かされていく、という構成それ自体は、決して珍しいものではないが、犯人、被害者、殺害の動機のいずれの点も、かなり異色だといえる。

舞台はバンクーバーからフェリーで連絡している小さな半島の、人口千の小さな村。三方を海に囲まれ、陸地の大部分をうっそうとした大森林に占められた、いわば陸の孤島だ。この小さな村を舞台に、カナダ騎馬警察隊の主任部長刑事カール・アルバーグと、図書館司書カッサンドラ・ミッチェルとが主人公となり、殺人事件を縦糸にして、さまざまな人間模様を織りなしていく。

これのすごいのは被害者は八十五歳、犯人は八十歳で、この作品が書かれたのが1985年。
それから20年以上が過ぎた現在、日本では老人社会になり、この状況に似た犯罪がしばしば起きている。


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