作家のルーク・デヴァルウは原稿が書けずに苦しんでいた。電話もなければ、郵便も来ないカリフォルニアの砂漠にある丸木小屋で。その小屋を訪れた者がいる。ドアを開けると「それは2フィート半ばかりの、緑色をした、ちいさな人間だった。……『ここは地球だろ?』」。
驚いて口もきけない彼に、小人はおりから夜空にのぼっていた月を指した。「月が一つしかないもんな。ぼくんとこには二つある」太陽系内で月を二つもっている惑星といえば、ただ一つに限られてしまう。するとこの小人は……火星人なのだ!
緑色の火星人は、地球まで1秒足らずで移動できる“クイム力”や透視力などの超能力を持ち、しかも悶着を起こすのが大好き。世界中を混乱に陥れ、6週間で数百万もの失業が出たとあって<火星人ゴーホーム>の声が上がる。こんな騒動を軽妙な筆致でユーモラスに描く。