外出先から自宅に戻ったら、たったひとりの身内である、最愛の父親が惨殺されていた。
前夜けんかしたままで、謝ろうと思っていたのに……。
ビアトリスは、父との和解の瞬間を奪った憎い犯人をつきとめる決意をする。
裕福な家だけに、押し込み強盗に行きがかりで殺されたように見え、警察もその見解だが、図書室に高価な稀覯本が何冊もあったにもかかわらず、見たところ、失くなっているものはない。
ただ1つ、父の昔の患者がよこした、不吉な感じの古書をのぞけば。
父親の仇を討つべく、ビアトリスはわずかな手がかりを頼りに自ら事件解決に乗り出す。
互いにまだ未練がある別れた夫スティーヴや、父が死の直前に会見を申し込んでいた古書商の協力を得て、消えた本の由来を調べ始める。
そしてわかったのは、本が中世に出版された魔法書であり、手に入れるためには殺人も辞さない組織が存在することだった。