俺たちには今日がある
著作名
俺たちには今日がある
著者
トニー・ケンリック
ジャンル
ユーモアミステリ
星の数
★★★
出版社
角川文庫
原作出版
1978
備考

内藤陳のオススメ文
  とにかくトニ・ケン、一作ごとに奇妙奇天烈抱腹絶倒、陳の長アゴは壊れたエレベーター(開きっぱなし)今ならさしずめシンドラーになってしまう。

主人公ハリーはどこにでもいそうな中年のサラリーマン。それがある日突然に、「あなたの生命は不治の病であと一ヶ月!」と宣告されてしまった。聞いてビックリ玉手箱、もし君がそうなったらどうするネン? まずはもちろんヤケになるだろう。

しかし神はイるものめぐむ愛――同じ病の“ヒロイン”グレースと運命のめぐり逢い、同病あいあわれむこともなく、笑いころげたデートの帰り道、もしふたりが六十三丁目以外の通りを歩いていたら、悪の道だけ超一流の大悪党コリノスを敵に回した“笑撃”の大誘拐冒険物語を我らが見ることはなかったのだ。

ではこの悪党コリノス、無知にして無教養、ノー天気ゆえに求めるものは最高のものばかり――最高住居(ペントハウス)はいうに及ばず、最高の秘書、最高の執事、最高の料理人、最高の娼婦、今夜は最高(タモリ)! などなどを金と銃の力で手中にしていた。

相手の大事な所を攻めろ! は勝負の鉄則とばかりに、ハリーとグレースは、その最高の彼らの誘拐を計る。しかもその彼らは皆誘拐されたいときているから世にも珍妙な誘拐シーンに唖然と爆笑と。

そして交代要員(リリーフ)には、世界最低の技能の持ち主ばかりをコリノスにプレゼント……。いわく――眼鏡なしでは玉ネギとレモンの区別もつかぬ教本片手のシェフ、一通のトンネルを堂々逆進パニックのドライバー、就職情報定期購読の転職最高記録保持者のウェイター etc。各人“必笑”見せ場の連続フル回転! とくにオススメシーンならコリノスと大ボスのハチャメチャ会食シーン。

一度読んだら二度三度、読めば読むほど笑わせる“トニ・ケン”印の決定版。最高最大にすばらしい純粋のお笑いはコレッキャナイ!


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