警視の接吻
著作名
警視の接吻
著者
デボラ・クロンビー
ジャンル
警察ミステリ
星の数
★★★
出版社
講談社文庫
原作出版
1999
備考

前作『警視の死角』で、キンケイドはいきなり11歳の少年の父親になった。きっとの父親が自分だとわかった、 というほうが正確だろうか。母親はキンケイドの先妻ヴィクトリア。キンケイドと離婚する直前に出来た子供を、彼女は再婚相手の子として産み、育てていた。キンケイドは彼女が殺されたあとでその事実に気づく。育ての親 であるイアンは、若い女と駆け落ちをして南仏に行ってしまった。母親を失い、父親に捨てられ、傷ついたキットの生活をこれからどうするのか、出生の秘密をいつどうやって明かすべきなのか−−キンケイドの抱える問題 は複雑だ。

とりあえず友達として接していこうと決めたキンケイドは、ある土曜日の朝、お弁当やお菓子を準備して、キッ トを迎えにいく。目指すはウィンブルドンのセンターコート。しかし楽しみにしていたテニス観戦も、一本の電話によって中止となってしまう。

アイル・オブ・ドッグズの公園で、女性の死体が発見された。本来ならば捜査を取り仕切るべき所轄の警部がロ ンドンを離れているため、スコットランドヤードが協力することになったという。キットの落胆した顔を見るのはつらかったが、キンケイドは仕事を投げ出すわけにはいかなかった。 被害者は息をのむほどの美人だった。婚約者が捜索願を出してきたことで、身元はすぐに判明した。そして、彼 女の乱れた私生活も明らかになっていく。犯人は、その美貌に見せられた男の一人なのだろうか。

やがて捜査線上に浮かんだのは、路上でクラリネットを吹く男だった。以前ジェマが何度も足を止め、演奏にき き入ったことのある、犬を連れたストリート・ミュージシャンだ。ジェマはなぜか、この危険な男に心を惹かれていく。いつしかキンケイドとのあいだにうまれる溝。ふたりの関係は修復可能なのだろうか……。


inserted by FC2 system