扉の中
著作名
扉の中
著者
デニーズ・ミーナ
ジャンル
ミステリ
星の数
★★★
出版社
ハヤカワポケミス
原作出版
1998
備考

舞台はスコットランドのグラスゴー。モーリーン・オドネルは劇場のチケット売り場で働きながら、ガーネットヒルにある小さなフラットでつましく一人暮らしをしている。
ボーイフレンドのダグラスは実は既婚者で、このところ日ましにぎくしゃくしてきた二人の関係に嫌気がさしたモーリーンは、彼と別れようと心を決める。
憂さ晴らしに親友のレズリーとしたたかに飲んで帰宅し、翌朝目を覚ますと、彼女を待ち受けていたのは二日酔いだけではなかった。

居間にダグラスがいたのだ――椅子に縛り付けられ、喉を切り裂かれて。
血まみれのカーペットには、彼女のものらしい足跡が残っていた。
警察はモーリーンを主要容疑者とみなす。悪いことに、彼女の母親はある中、兄はドラッグのディーラー、しかも彼女自身は幼いころ父親から受けた性的虐待がもとで、最近になって神経を病み、精神病院に長期間入院した過去があるうえ、少女のころから、他人に弱みを握られまいとして、なにかにつけて嘘をつくのが習慣になっている。

そんな彼女の証言を警察が容易に受け入れるはずはなかった。
ダグラスの母親で政治家のプレイディ夫人はモーリーンを犯人と決め付け、マスコミを動かして彼女を責めたてる。

彼女自身の母親と二人の姉は、性的虐待の事実を否定したがるあまり、モーリーンの記憶はあてにならない、なかったことをあったと言い、あったことをなかったと言う人間なのだ、と疑ってかかる。

ダグラスを殺したのは――モーリーンでないなら――誰なのか? なぜ彼は殺されなければならなかったのか? 犯人探しを警察に任せてはおけないと決めたモーリーンが自分で調べに乗り出すと、やがて……。


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