パンドラ抹殺文書
著作名
パンドラ抹殺文書
著者
マイケル・バー=ゾウハー
ジャンル
冒険小説
星の数
★★★★
出版社
ハヤカワ文庫
原作出版
1980
備考

物語はKGB上層部に潜らせたCIAの二重スパイ「パンドラ」を守るため、大胆な謀略が企てられることから始まるが、その全貌は最後の最後まで伏せられたまま、ふとしたことから謀略の鍵を握る文書を手にしたフランス人女子学生の逃避行が描かれていく。
本作の読みどころのひとつがその追跡劇にあることはいうまでもない。
彼女と、物語半ばで登場する主人公のキャラクター設定もまことに凝っており、恋愛サスペンスとしても十分読ませる。
またいっぽうでバー=ゾウハーは、一連の事件に現実味を与えるのも忘れてはいない。
76年に起きたミグ25亡命事件が巧みに生かされているのはその証左であろう。
ストーリーテラー、謎解き趣向、どんでん返し嗜好、猟奇趣味、ジャーナリスト気質といった彼ならではの持ち味が遺憾なく発揮された本作は、まさにスパイ小説と謀略小説双方の醍醐味を兼ね備えた快作なのだ。


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