「オデッサ(ODESSA)とは、南ロシアの町でもなければ、アメリカ、テキサスの田舎町でもない。
これはドイツ語のOrganisation Der Ehemaligen SS-Angehorigen(元SS隊員の組織)のイニシャルをつなぎ合わせた合成語である」
この前書きで、オデッサの存在を世間に知らしめたフォーサイスの第2作は、1963年11月22日、ケネディ暗殺の日から始まる。
フリーのルポライターであるペーター・ミラーは、新しいネタを求めて救急車を追いかけるうち、あるユダヤ人の老人の自殺現場にたどりついた。
たまたま現場には旧知の警官がいて、後日その警官から老人の日記を預けられるが、そこには、第二次世界大戦当時老人が収容されていた、ラトビアのリガ収容所長、エドゥアルト・ロシュマンの残虐行為が逐一書かれてあった。
その日記のある箇所に思い当たることのあったミラーは、ロシュマンがドイツで現在も生きていることをつかむ。
ミラーの執拗なロシュマン探索が始まるが、オデッサの手もまた、ミラーの命を狙うのだった。