ギャンブラー
著作名
ギャンブラー
著者
レナード・ワイズ
ジャンル
冒険小説
星の数
★★★
出版社
早川書房
原作出版
1977
備考

五年に一度開かれるポーカーのビッグ・ゲイム<ビッグ・ビアザーロ>。この大会に参加するには厳しい条件がある。まず最低100万ドルのチップを購入しなければならない。そして、世界に27人しかいないポーカー・マスターのうち5人から一万ドル以上のマーカーを取らなければならないのだ――いわば“紳士だけに許される”ビッグ・ゲイム。

田舎町出身の弱冠22歳のギャンブラー、レフティにとって、このゲイムは夢のまた夢だった。だが、勝ち続ける彼の野望は果てしなくふくらむ――<ビッグ・ビアザーロ>で必ずチャンピオンになる!

そんな彼に人びとは口を揃えて言った、「エイス・ホワイトから学ばなければだめだ」。3年後に控えた大会を目指し、生来のギャンブラー、レフティの修行は幻のチャンピオン、エイスを捜すことから始まった……。

酒あり、女あり、そして白熱のポーカー戦あり。<ビッグ・ビアザーロ>を目指す絶妙のコンビ、レフティとエイスは次つぎと名勝負を繰り広げてゆく。その鮮やかなカード捌きと読みは、思わず読者を引きずり込まずにはおかない。勝負の厳しさに心打たれ、酒と女に酔うことは必定。華麗なる“ポーカー小説”の白眉。

ニューヨーク州ファーノ
     ミスタ・レフティ・ウィルスンへ

ディア・レフティ
 きみが世界最高のポーカー・プレイアーになる決心を固めたと聞いた。あらゆるゲイムの頂点にあるザ・ビッグ・ビアザーロが目標だそうだな。たいした度胸だ。それに、きみにはルックスも、魅力も、才能も、秘めた力もあることを認めないわけにはゆかない。

だが、きみにも足りないものがあるのだよ。バイ=インの100万ドルと、腕を磨くあいだの生活費50万ドルだ。ファーノ出のハスラーのような生活はやめて、世界の紳士としての生活をはじめなければならないんだ。付合う女もレディだけ、けんかは御法度、旅はファースト・クラスだ。それに、ポーカー・ゲイムも数多くプレイしなければならない。だからといって、安手のゲイムは禁物だ。ザ・ビッグ・ビアザーロまで32箇月だが、毎月平均5万ドル勝たねばならないのだよ。カンヌ、カリブ海、サットン・プレイス、その他の土地でのゲイム、頑張ってくれ。

しかし、カネとスタイルだけでは不充分だ。トレイナーが必要だ。それも最高のトレーナーがな。もしエイス・ホワイトを探し出すことができて、彼を隠退生活から引っぱり出すことができれば、きみにはこわいものなしになるはずだ。
 幸運を祈る。

友人より  

追伸 警告をひとこと。リンダ・グリザードには気をつけろ。きみの女性に対する甘さを彼女に向けたら、殺られるはめになるぞ。


エイス・ホワイトの哲学

ローヤル・フラッシュ
もしハスラーとしていきるつもりなら、それなりの豊かな生活をしなければならない。それができなければ、やめてしまえ。
ストレート・フラッシュ
私は月平均5万ドルは稼ぐ。毎月29日になってもそこまでいっていないときは、5万ドルになるまで眠らない。才能があれば、それくらい稼ぐのはさしてたいへんなことではないのだ。
フォー・カード
ハスラーは、殺し屋の本能をもっていなければならない。トップの座に就くためには、どんな犠牲を払っても勝つのだという気持ちをもっていなければならないからだ。
フル・ハウス
女に関していえば、それなりの投資をすれば手に入らないはずはない。
フラッシュ
理由がなんであれ、私を狙っている下っ端の殺し屋のことなどいちいち気にしていたら、夜も眠れなくなってしまう――ところが、私は眠ることが大好きなのだ。
ストレート
私はスコッチのミルク割りを飲む。スコッチは気分を良くするため、ミルクはからだのためだ。
スリー・カード
弁護士を信じてはならない。親戚にも気をつけろ。彼らは血の最後の一滴まで吸い取ろうとするものだ。
トゥ・ペア
ぼろぼろに使い古した、いまにも壊れそうなこの骨の奥で脈打っている心臓は冷たい。だが、その凍てついた心を溶かせるものがあるとすれば……それは、女の暖かい涙だ。
ワン・ペア
人生――それは、かならずしも自分の思いどおりにはならないものだ。
このページを作成するに当たって再度読み返したが、
小説としては★★だがものめずらしさから★★★の評価を与えたようですね。

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