五年に一度開かれるポーカーのビッグ・ゲイム<ビッグ・ビアザーロ>。この大会に参加するには厳しい条件がある。まず最低100万ドルのチップを購入しなければならない。そして、世界に27人しかいないポーカー・マスターのうち5人から一万ドル以上のマーカーを取らなければならないのだ――いわば“紳士だけに許される”ビッグ・ゲイム。
田舎町出身の弱冠22歳のギャンブラー、レフティにとって、このゲイムは夢のまた夢だった。だが、勝ち続ける彼の野望は果てしなくふくらむ――<ビッグ・ビアザーロ>で必ずチャンピオンになる!
そんな彼に人びとは口を揃えて言った、「エイス・ホワイトから学ばなければだめだ」。3年後に控えた大会を目指し、生来のギャンブラー、レフティの修行は幻のチャンピオン、エイスを捜すことから始まった……。
酒あり、女あり、そして白熱のポーカー戦あり。<ビッグ・ビアザーロ>を目指す絶妙のコンビ、レフティとエイスは次つぎと名勝負を繰り広げてゆく。その鮮やかなカード捌きと読みは、思わず読者を引きずり込まずにはおかない。勝負の厳しさに心打たれ、酒と女に酔うことは必定。華麗なる“ポーカー小説”の白眉。
ニューヨーク州ファーノ
ミスタ・レフティ・ウィルスンへ
ディア・レフティ
きみが世界最高のポーカー・プレイアーになる決心を固めたと聞いた。あらゆるゲイムの頂点にあるザ・ビッグ・ビアザーロが目標だそうだな。たいした度胸だ。それに、きみにはルックスも、魅力も、才能も、秘めた力もあることを認めないわけにはゆかない。
だが、きみにも足りないものがあるのだよ。バイ=インの100万ドルと、腕を磨くあいだの生活費50万ドルだ。ファーノ出のハスラーのような生活はやめて、世界の紳士としての生活をはじめなければならないんだ。付合う女もレディだけ、けんかは御法度、旅はファースト・クラスだ。それに、ポーカー・ゲイムも数多くプレイしなければならない。だからといって、安手のゲイムは禁物だ。ザ・ビッグ・ビアザーロまで32箇月だが、毎月平均5万ドル勝たねばならないのだよ。カンヌ、カリブ海、サットン・プレイス、その他の土地でのゲイム、頑張ってくれ。
しかし、カネとスタイルだけでは不充分だ。トレイナーが必要だ。それも最高のトレーナーがな。もしエイス・ホワイトを探し出すことができて、彼を隠退生活から引っぱり出すことができれば、きみにはこわいものなしになるはずだ。
幸運を祈る。
友人より
追伸 警告をひとこと。リンダ・グリザードには気をつけろ。きみの女性に対する甘さを彼女に向けたら、殺られるはめになるぞ。