スパイの妻
著作名
スパイの妻
著者
レジナルド・ヒル
ジャンル
スパイミステリ
星の数
★★★
出版社
ハヤカワポケミス
原作出版
1980
備考

霧がたちこめる九月の朝、モリー・キートリーが朝食の片づけをしているときだった。
出勤したはずの夫サムが戻ってきた気配がし、行ってみると、彼はスーツケースを片手に、また出かけようとしていた。
モリーの質問にもうわの空で「連絡する。愛してるよ」という言葉だけ残すと、猛スピードで車を出し、去っていった……。

それから30分後、モリーの家に二人の男がなかば強引に押し入ってきた。
だだ茫然とするモリーに、二人の話しはとどめの衝撃を加えた――サムは東側のスパイだった。
身元の発覚を悟り、監視の目を盗んで逃げたのだ。
今ごろはモスクワ行きの機内かもしれない!

雑誌≪ニュー・テクノクラット≫の防衛問題担当記者として腕を奮っていたサムは、理想的と言っていい夫だった。
結婚以来8年、彼の行動に疑いを抱いたことは一度もない。
それが、突然……モリーには、これが現実の出来事とはとても思えなかった。
サムは今どこに? モリーに連絡してくるだろうか?

一時の安らぎを求めて故郷に帰ったモリーの周辺には、秘密裏に、しかし執拗にサムの行方を追うイギリス情報部の監視の眼、そして何者とも知れぬ不気味な人間の影が付きまとっていた!

通常、スパイ小説の結末となる場面から物語を始める秀抜なアイデアを、鋭い人間観察の眼で肉づけていく、レジナルド・ヒルならではの異色のスパイ小説。


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