1920年、ロンドンを旅行中だった大富豪の娘イヴのところに、とつぜん現われた中国人。
彼は言った「わたしの主人があなたの父上を人質にしていて、あなたのカレンダーで18日後に殺す予定です。しかし……」
イヴは中国の将軍が要求する翡翠の彫像を、彼女じしんの手によって届ける決意をした。
さもなくば、最愛の父が死ぬ。
が、当時ロンドン→中国は月よりも遠く思われ、とても期日までは不可能とされていた。
そこで、イヴは中古の、第1次世界大戦の偉大なる戦闘機、ブリストル・ファイター3機を買い、死のレースへと飛び立つ。
同行するのは、ともに空中戦を演じた空の勇士ふたり、第1次世界大戦で敵味方だったイギリス人のオマイリ少佐と、ドイツ人のケアン男爵、そして中国人の使者・孫楠――この男だけが行き先を知っている。
もし彼が死ねば……。