遥かなるセントラルパーク
著作名
遥かなるセントラルパーク
著者
トム・マクナブ
ジャンル
冒険小説
星の数
★★★★
出版社
文春文庫
原作出版
1984
備考

1931年ロスアンジェルスに、世界中から2000人のランナーがあつまった。
歴史上、それまで誰一人として、ニューヨークまでの米大陸横断5千キロを、1日80キロずつ走り続けた者はいない。

このレースはまさに不可能ともいえる冒険の旅なのだ。
行く手には容赦なく汗と体力を絞り取る狂熱のモハーヴェ砂漠、厳寒と酸素不足の死のロッキー山脈越えがある。

それら太陽熱風豪雨雪の自然脅威はまだしも、この時代は、まさに大恐慌に禁酒法、しがない暮らしにあるプロ、失業中の者、飢饉の村を救うべく参加したメキシコ青年、元オリンピック選手の英国貴族、人殺し、そして踊り子だった美女までが賞金36万ドルを狙う。
さらに主催者さえもが、これでヒトヤマ当てこんでの大ギャンブル・レースなのだ。

「なぜ、連中は走りつづけるのか? 走っている時間が、何者も奪い取ることができない素晴らしいひとときだからだ」

そして彼らは「肉体と精神の知られざる領域に踏み込んで、自分が何であるのかを知る」

読み終わってみると“長距離走者は、孤独ではない!”

内藤陳のお薦め文
  「なぜ、彼らは走り続けるのか? 走っている時間が、どんな大家(たいか)も、雇い主も、政治家も奪い取ることのできない、素晴らしいひとときだからだ」

時はまさに大恐慌と禁酒法の一九三一年。ロスアンジェルスに世界中から二千人のランナーが集まっていた。ニューヨークまでの米大陸横断五千キロを走り通すというウルトラマラソンの開幕なのだ。いまだかつて誰一人走り続けた者はいない。人智(ジョーシキ)を越えた大冒険の世界(たび)。目的は巨額の賞金か、功名心か?

元オリンピック選手の英国貴族がいる、失業者が、失意の職で暮らしているプロランナーがいる。飢餓の村を救うべく送り出されたメキシコ青年、人殺し、インディアン、日本の孫(ソン)、ヒトラー・ユーゲントの若者、そして踊り子だった美女までが。

行く手には汗と体力を絞り取る熱砂漠あり、厳寒のロッキー山脈あり、政治的妨害ありと難関苦難多多累積(ダイガク・ニューシ・メジャーナイ)。しかも肝心の主催者が資金難ときた! そこで行く先ざきで決死のギャンブル・レースが――競走馬vs人間の賭け競争(レース)、ボクシング、綱引き、丸太投げの大運動会もすべて金。愉快痛快命がけ。読むほどに血湧き足踊るアア感動涙の本筋(まっとう)大冒険小説なのだ! それゆえに「もし……」が許されるなら大逆転もありえたという陳メ強力(こにしき)プッシュプッシュのオススメ本であります。


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