ゲイルズバーグの春を愛す
著作名
ゲイルズバーグの春を愛す
著者
ジャック・フィニイ
ジャンル
ファンタジー短篇
星の数
★★★★
出版社
ハヤカワ文庫
原作出版
1962
備考

アメリカ・イリノイ州のゲイルズバーグという由緒ある小さな街を舞台にした現実否定の小編10篇を収めた短編集。
ロマンチックな響きを秘めたこの静かな街にも近代化の波が容赦なく押し寄せ、古く美しいものがやたらと破壊されていく。
「ゲイルズバーグの春を愛す」は“私”なる新聞社の人物が、こうした近代化に抗して過去の幻聴に取りつかれた実業家が、はからずも今はなくなってしまった電車やクラシックカー、馬車などの亡霊を見たという証言を記述する形をとっている。
ここには、嵐のような近代化の波を阻止しようとするフィニイの現実への拒絶がうかがえる。
前短編集「レベル3」の懐旧的世界をさらにおしすすめた作品集である。
フィニイはさらに下って「ふりだしに戻る」という傑作をものにする。


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