ウォッチャーズ
著作名
ウォッチャーズ
著者
ディーン・R.クーンツ
ジャンル
ホラー
星の数
★★★★
出版社
文春文庫
原作出版
1987
備考

トラヴィス・コーネルは生まれてすぐ母を、幼くして父と兄を、軍隊時代には戦友たちを、そして結婚10ヶ月目にして新妻をうしなった。
そして、自分は愛する人達を死に至らしめる呪われた宿命を負っていると信じこんで隠者のような生活を送っていた。
ノーラ・デヴォンは幼くして両親を亡くし、病的なまでに潔癖で厳格な伯母に引き取られ、学校にさえ通わず、伯母の家で教育を受けさせられていた。
伯母の死後も、その呪縛から逃れられず、自分の持つ魅力にまったく気付かずにいたのだ。
自ら望んで世間との接触を絶とうとする男と、世間を全く知らず、ただ不安に怯える女。
この何の接点もない孤独な二人を結びつけたのは、もう一人の、いや、もう一匹のこれもまた孤独な犬だった。
人間並みの知能を持ち、人間以上に他人の心を理解できる故に、人間にも犬にも同化できない孤独な存在。
トラヴィスに“アインシュタイン”と名づけられたゴールデン・レトリーバー。
孤独な三つの魂は、この世に生を受けて初めての幸福な交わりの時を持った。
だがそんな幸福のときもつかの間、巨大な魔の手が二人と一匹に迫りつつあった。
アメリカ政府超極秘プロジェクトの落とし子であるアインシュタインを追って、政府機関や犯罪組織、 そして姿を見せぬ謎の存在がその包囲網を徐々に狭めつつあったのだ。
「そんなこと、夢にも思わないで。あなたは私たちの一部なの。あなたは家族の一員なのよ、ね、わたしたちはみんな家族なの、いつもこうやっていっしょに、ずっとはなれずにいるのよ、だってそれが家族でしょう?」
ノーラの悲痛な叫びも余所に、強大な敵は彼らの間近に迫っていた。


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