特別料理
著作名
特別料理
著者
スタンリイ・エリン
ジャンル
ミステリ短篇
星の数
★★★
出版社
ハヤカワ文庫
原作出版
1956
備考

人気のない街路に面した四角い褐色砂岩の建物。
コスティンは、職場の上司ラフラーに案内され、スピローズという料理店に連れて行かれる。
その店には、メニューがなく、アルコール類も一切出ない。
テーブルの上には調味料、スパイスの類はおろか塩すらも置いてなく、おまけに女人禁制。
コスティンは戸惑いながらもウェイターが運んでくる料理に舌鼓を打つうち、言い知れぬ美味さのとりこになってしまう。
そしてその店に通い始めて二週間目のこと、風変わりな料理人スピローに紹介され、特別料理“アミルスタンの羊”を味わう機会を得る。
コスティンは、目もくらむような美味さに、まるで人間が自分の魂を覗きこむような感じにとらわれる。
そして、ラフラーにともなってスピローズの晩餐の席に連なることが、もはやきまりきった儀式になったある日、二人の共通の念願であった料理場の見学を、ラフラー一人だけが許され、コスティンはウィンドウごしに彼の後姿を見送る。
“スピローは片手で誘うように大きくドアをあけ、もう一方の手はほとんど慈しむようにラフラーの肉付きのいい肩にかかっていた” という暗示的なエンディングで幕を閉じる。


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