ジャッカルの日
著作名
ジャッカルの日
著者
フレデリック・フォーサイス
ジャンル
冒険小説
星の数
★★★★★
出版社
角川文庫
原作出版
1971
備考

OASの新しい作戦主任、マルク・ロダン大佐は考えた。
ドゴール暗殺の失敗を繰り返してきたのは、暗殺の実行者がよく顔を知られた者たちだったことが原因だろう。
いっそプロの殺し屋を雇ってはどうだろう。
こうして、氏名年齢ともに不詳、身長約180センチで、筋肉質だがほっそりとした体形のイギリス人が成功報酬50万ドルで雇われた。

暗号名はジャッカル、プロの中のプロである。
彼の存在はOASの三人の最高幹部以外には秘密にされた。
跡を残さないために、ジャッカルはすべてのことをひとりでやる主義だった。
ドゴールに関する記録文書や書物を片っ端から読破し、少年時代から現在に至るドゴールの人物像を組み立てていった。

そして、決定的瞬間!

次の瞬間、彼は信じられないという表情で、駅前広場を見下ろしていた。炸薬弾が銃口から飛び出す前に、大統領は、ついと頭を前に傾けたのだ。ジャッカルが茫然としてながめていると、大統領は前にいる退役軍人の両頬に、おごそかに接吻した。大統領は長身なので、祝福の接吻を与えるためには、ちょっと前かがみにならなければいけないのだ。この接吻は、フランスその他のラテン系民族の習慣なのだが、アングロ・サクソンであるジャッカルは不覚にもそれに気付かなかったのである。


inserted by FC2 system