「私は、物語には発端と中盤と結末がなければならないと信じている、古風な男なのだ」まさにこの言葉どおり。
デズモンド・バグリイは、オーソドックスな冒険小説を書き連ねた作家である。
おんぼろダコタの機長ティム・オハラは乗客を乗せたまま、高度1万7千フィートのアンデス山脈の一角に強制着陸を余儀なくされる。
犯人の狙いはダコタに乗り合わせていた元大統領だった。
彼はクーデターで国を逃れ、独裁者ロペス将軍から政権を奪還すべく、帰国途中だったのだ。
生き残ったのは、落ちぶれパイロットのオハラをはじめ、老人(元大統領)とその姪にボディガード、学者が二人、それにビジネスマン、酔っぱらい、オールド・ミス。
高山の峡谷にかかった吊り橋をはさんで彼らと対峙するのは、政権を狙い元大統領を亡き者にしようとする共産軍。
オハラたちは徒手空拳で戦いを挑む。
が、学者の一人が中世史の研究家で、ガラクタを利用して石弓を作るのだった……。
この石弓は修理工場のガラクタで作られている。
弓は自動車の板バネ、つるは電線6本をよりあわせたもの、台と引き金は木製、矢は長さ15インチの錆びた鉄棒、矢羽根は粉末ミルクの缶製というしろものだ。
有効射程距離は100ヤードというから90メートルはある、戦果はいかに……。