シャーロック・ホームズ
著作名
シャーロック・ホームズの冒険
著者
コナン・ドイル
ジャンル
本格ミステリ
星の数
★★★★★
出版社
各社より出版
原作出版
1892
備考

ドイルの第一短編集である。

「ボヘミアの醜聞」
久し振りにベーカー街221Bの住居を訪ねた私(ワトスン医師)がホームズと談笑していると、仮面を付けた依頼人がやって来た。相変わらずの慧眼でホームズはその人物がボヘミアの国王であることを見抜く。国王は近々某国の王女と結婚する運びになったが、困った問題が生じたという。以前ちょっと交際したことがある歌手が、二人一緒に撮った写真を持っていて、それを某国宛に送ると、国王を脅しているのだ。

これまでに手の者を使って彼女の部屋などを密かに探させたが、写真は見つからなかった。是非とも見つけてほしいと国王はホームズに哀願するのだった。
ホームズは歌手の家の前へ行き、一芝居打ってうまく家の中に入り込んだのだが……。
ポーの「盗まれた手紙」に似た状況設定で、ホームズなら見つけやすそうで見つけにくい隠し場所を、どのように推理するのだろうか、と比較してみたくなる。ところでこの作品では、歌手の方がホームズより一枚上手をいくという結末で、してやられた形のホームズにとっては忘れられない女性となったのである。

「赤毛組合」
質屋のウィルスンは店員のスポールディングに勧められて赤毛組合に入った。ウィルスンのような赤毛の持ち主だけが入会を許される会で、彼は毎日組合の事務所へ通い、事典を筆写して高給をもらうようになった。店のほうは店員にまかせて勤務していたが、今日行ってみると、扉に組合は解散したと貼り紙がしてあった。高給の仕事口を失い、腑に落ちない面持ちのウィルスンは、ホームズを訪ねてこの一件を打ち明けた。

話に興味を持ったホームズは、ワトスンを連れて質屋へ立ち寄り、スポールディングに道を尋ねた。その後、煙草屋、雑誌屋、銀行支店等が並ぶ質屋の界隈をホームズは散策し、推理を進めたらしい。その夜、ワトスンがホームズの部屋へ行くと、警視庁の刑事と銀行頭取のメリーウェザーが来ていた。ホームズは「今晩は大きな勝負になりますよ」といって、皆を馬車に乗せた。馬車が着いた所は昼間見に来た街の銀行支店だった。ホームズは、この銀行の金庫が狙われているというのだ。

上記以外の収録作品は「まだらの紐」「唇のねじれた男」「花婿の正体」「ボスコム渓谷の惨劇」「五個のオレンジの種」「青い紅玉」「技師の親指」「独身の貴族」「緑桂石宝冠事件」「ぶなの木立」


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