心ひき裂かれて
著作名
心ひき裂かれて
著者
リチャード・ニーリィ
ジャンル
サスペンス
星の数
★★★
出版社
角川文庫
原作出版
1980
備考

故・小泉喜美子女史はニーリィの作品の特徴をこう述べていた。
《「誰がいつ、どこで、なぜ、どうやって殺したのか」という通常のミステリーの魅力ではなく、ニーリィのミステリーでは「いったい何が隠されているのか?」という謎がある。謎そのものが謎なのだ》(『ミステリー歳時記』より)

主人公の「わたし」ことハリーの美しい妻ケイトは、精神病院を退院したその日に暴漢に襲われた。
ハリーがかって、レイプの現場で娘を助けたことによる、暴行犯人の復讐なのだろうか?
ショックから「心の病」が再発することを心配するハリーと、警察をあざ笑うかのように、次々と暴行事件を起こしていく謎の犯人。
やがて、暴行魔を追いつめる警察がたどりついた真相は、想像を絶する悪夢だった!

『心ひき裂かれて』は1976年のアメリカ探偵作家クラブ賞候補作となった異常心理サスペンスの傑作である。某作品のヴァリエーションといってはそれまでだが、事件の複雑性と異常性を「最後の数行」で明らかにするテクニックは見事。それゆえ数ある連続殺人鬼物とは一線を画し、読後はその真相の不気味さゆえの余韻が残る。

他に「オイディプスの報酬」「殺人症候群」


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