シャドー81/新潮文庫 シャドー81/ハヤカワ文庫
著作名
シャドー81
著者
ルシアン・ネイハム
ジャンル
冒険小説
星の数
★★★★★
出版社
新潮文庫ハヤカワ文庫
原作出版
1975
備考

ベトナム戦争末期、アメリカが極秘のうちに配備したTX75Eは、航続時間十時間、五トンの武器弾薬を搭載できる最新型の多用途垂直離着陸戦闘爆撃機である。機体だけで二千二百万ドルもするTX75Eの生みの親エンコ空将は、現在、ダナン近郊の実戦部隊の司令官だ。

最近になって、アメリカ政府が、この我が子のように可愛いTX75Eを製造中止にしようとしていることを知ったエンコは、政府のやり方に絶望し、ある計画を思い立ち、部下の優秀なパイロットであるグラントに話を持ちかけた。

ロサンゼルスからハワイに向うPGA81便が無線で乗っ取りを通告された。姿なき犯人は、747ジャンボ旅客機の死角に入って決して姿を見せない完全武装の謎のジェット戦闘機。そして、17時までに合衆国政府保有の金塊二千万ドル相当をロサンゼルス空港に用意することを要求する。金塊はケンタッキー州の軍用地に保管されている。

現在時13時46分。ロスまで1800マイル以上、17時までに間に合うのか。ハイジャック計画は綿密だった。金塊を超音速戦闘機に分載し、マッハ2の速度で飛べば間に合うというのだ。いったい、どのような方法で回収するつもりなのか。

約1時間後、犯人は奇妙な要求を追加した。大型の囚人護送車と水陸両用の双発機を用意することだった。

ロサンゼルス市内で待ちうけていたエンコ空将は、用意された囚人護送車に乗って市内の金融機関を片っぱしから襲撃し、紙幣や硬貨を満載して空港へ向かった。空港でエンコは、到着していたフォート・ノックスの金塊と強奪した紙幣など2200万ドルを水陸両用の双発機に積み込み、グラントとのランデブー地点へ飛び立った。

無事、落ち合った二人は作戦の成功を祝ったが、グラントはエンコから予想もしなかった事実を告げられたのである。


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