わたしが読んだお薦めの海外ミステリや冒険小説

三国志やミステリではないけどお気に入りの本の紹介

宇江佐真理

 印は読了してます。

宇江佐真理表紙画像です

  1. 幻の声〜髪結い伊三次捕物余話〜」  1997/04/ 文春文庫

    町方同心の下で働く伊三次は、事件を追って今日も東奔西走。江戸庶民のきめ細かな人間関係を描き、現代を感じさせる珠玉の5話。選考委員絶賛のオール讀物新人賞受賞作。【収録作品】幻の声/暁の雲/赤い闇/備後表/星の降る夜

  2. 泣きの銀次」  1997/12/ 講談社文庫

    飛脚にも負けない足、どんな場所にも身軽に入り込める小柄な身体、馬庭念流の剣……。妹殺害の真犯人を追って十年、色男・銀次の岡っ引き稼業と恋の道行き。書き下ろし長編時代小説。

  3. 銀の雨〜堪忍旦那為後勘八郎〜」   1998/04/ 幻冬舎文庫

    江戸の捜査官・勘八郎はなぜ犯人をいつも堪忍してしまうのか。寛容なベテラン同心と厳正な青年同心の衝突を軸に、市井の人々の運命の転変をつづる、端然として豊饒な人情捕物帳の白眉。【収録作品】その角を曲がって/犬嫌い/魚棄てる女/松風/銀の雨

  4. 室の梅〜おろく医者覚え帖〜」  1998/08/ 講談社文庫

    米屋の仙台屋に押し込みが入った。たまたま難を逃れた美代次は評判の好人物。しかし……。近代日本医学の夜明け、奉行所検屍役・美馬正哲と、その妻で産婆のお杏。人の生と死に立ち会う夫婦が難事件を解き明かす。【収録作品】おろく医者/おろく早見帖/山くじら/室の梅

  5. 紫紺のつばめ〜髪結い伊三次捕物余話〜」  1999/02/ 文春文庫

    伊勢屋忠兵衛からの度重なる申し出に心揺れるお文。一方、伊三次は頻発する幼女殺しに忙殺され、二人の心のすき間は広がっていく。廻り髪結いの伊三次と深川芸者のお文が活躍する捕物帳シリーズ第2弾。【収録作品】紫紺のつばめ/ひで/菜の花の戦ぐ岸辺/鳥瞰図」/摩利支天横丁の月

  6. 深川恋物語」  1999/09/ 集英社文庫

    「思う人と思う通りに生きられたら、これ以上のことはないのに…」 江戸深川の水面に映すせつなく揺れる6つの恋。ささやかな幸せを願う男と女の物語集。吉川英治文学新人賞受賞作。【収録作品】下駄屋おけい/がたくり橋は渡らない/凧、凧、揚がれ/さびしい水音/仙台堀/狐拳

  7. 江戸前浮世気質 おちゃっぴい」  1999/12/ 徳間文庫

    鉄火・伝法が玉にキズ。お吉は十六蔵前小町。だが、突然の縁談話にカッとなり……。笑いと涙の人情譚。表題作他5話を収録。【収録作品】町入能/おちゃっぴい/れていても/概ね、よい女房/驚きの、また喜びの/あんちゃん

  8. 雷桜」  2000/04/ 角川文庫

    雷鳴轟く初節句の宵に、何者かにさらわれた庄屋の愛娘、遊。15年の時を経て、遊は「狼女」となって帰還した-。運命の波に翻弄されながら、人の優しさを知り、愛に身を裂き、凛として一途に生きた女性の物語。

  9. さらば深川〜髪結い伊三次捕物余話〜」  2000/07/ 文春文庫

    髪結いの伊三次とよりを戻した深川芸者のお文に言い寄る伊勢屋忠兵衛の黒い影。袖にされた意趣返しが事件を招き、お文の家が炎上した……。表題作を含む五編を収録。急展開のシリーズ第3弾。【収録作品】因果堀/ただ遠い空/竹とんぼ、ひらりと飛べ/護持院ヶ原/さらば深川

  10. 余寒の雪」  2000/09/ 文春文庫

    剣術の修行を積んだ娘が江戸に出てきた。だが彼女を待っていたものは……。表題作のほか、武士から町人までさまざまな男女の心を描く短編集。中山義秀文学賞受賞作。【収録作品】紫陽花/あさきゆめみし/藤尾の局/梅匂う/出奔/蝦夷松前藩異聞/余寒の雪

  11. 春風ぞ吹く 代書屋五郎太参る」  2000/12/ 新潮文庫

    小普請組・村椿五郎太の夢、それは学問吟味に合格し、めでたく御番入りを果すこと。そして紀乃との仲を成就すること!人情味あふれる連作短編集。【収録作品】月に祈りを/赤い簪、捨てかねて/魚族の夜空/千ものの言葉より/春風ぞ吹く

  12. おぅねぇすてぃ Honesty 明治浪漫」  2001/11/ 祥伝社文庫

    新しい時代の潮流の中で、さまざまな葛藤に苛まれながらも真実の恋を貫こうとする、激しくも一途な男女を描く、著者初めての明治ロマン!【収録作品】可否/おぅねぇすてぃ/明の流れ星/薔薇の花簪/慕情/東京繁栄毬唄

  13. 甘露梅 お針子おとせ吉原春秋」  2001/11/ 光文社文庫

    この世には、様々な夢のかたちがある/遊廓でお針子として働く町家の女房が出会った恋/心の色艶を描かせて当代随一の女流作家による、本当に「読ませる」時代小説 【収録作品】仲の町・夜桜/甘露梅/夏しぐれ/後の月/くくり猿/仮宅・雪景色

  14. さんだらぼっち 〜髪結い伊三次捕物余話〜」  2002/01/ 文藝春秋

    芸者をやめ、茅場町の裏店で伊三次と暮らし始めたお文だが、子どもを折檻する近所の女房との諍いを機に家を出る。人気シリーズ第4弾。【収録作品】鬼の通る道/爪紅/さんだらぼっち/ほがらほがらと照る陽射し/時雨てよ

  15. 涙堂 琴女癸酉日記」  2002/03/ 講談社

    通り油町で琴女が過ごしたほのぼのとした日々。夫の不審死の真相を息子たちとともに追いつつ、日本橋・通油町での日々を綴る琴女の優しい眼差し。吉川英治文学新人賞受賞の著者得意の江戸市井を描く連作時代小説。【収録作品】白蛇騒動/近星/魑魅魍魎/笑い般若/土中の鯉/涙堂

  16. 斬られ権佐」  2002/05/ 集英社

    好いた惚れたは八丁堀の顔にひとすじ体に八十八の刀傷。おとこ権佐のこころ意気。江戸暮らしの哀と歓。連作時代小説。【収録作品】斬られ権佐/流れ潅頂/赤縄/下弦の月/温/六根清浄

  17. 河岸の夕映え 神田堀八つ下がり」  2003/02/ 徳間書店

    水は心を素直にさせる。喜び、哀しみ、口惜しさ、怒り。全てを映し、受け入れ、流れゆく川。……夕暮はいつも人恋しい。ほろりほんわか人情譚!【収録作品】どやの嬶/浮かれ節/身は姫じゃ/百舌/愛想づかし/神田堀八つ下がり

  18. あやめ横丁の人々」  2003/03/ 講談社

    婿入りの祝言の席上、妻に思い人のあることを知った大身旗本の三男坊、紀藤慎之介。逆上して間夫を斬り捨て、妻女を自害に至らしめた彼は、婚家のつけ狙うところとなり本所「あやめ横丁」に匿われる。だが堀に囲まれたこの町ときたら、場所も住人もみな何やら訳ありで……。【収録作品】あめふりのにわっとり/ほめきざかり/ぼっとり新造/半夏至/雷の病/あさがら婆/そっと申せばぎゃっと申す/おっこちきる/あとみよそわか/六段目

    私はこの本で宇江佐真理にはまりました。

  19. 深尾くれない」  2003/04/ 新潮社

    鳥取藩士・深尾角馬は短躯ゆえの反骨心から剣の道に邁進してきた。いまでは藩の剣法指南役も勤め、藩主の覚えもめでたき身。しかし姦通した新妻を、次いで後妻をも無残に斬り捨てた角馬の狂気は周囲を脅かす。やがて一人娘・ふきの不始末を知った時、果たして角馬の胸中に去来したものは……。紅牡丹を愛し、雖井蛙流を起こした剣客の凄絶な最期までを描き切った異色の長編時代小説。

  20. 玄冶店の女」  2003/05/ 幻冬舎

    江戸・日本橋に「玄冶店」と呼ばれる狭い路地があった。黒板塀に囲まれた妾宅が並ぶその一角で、元・花魁のお玉は小間物屋「糸玉」を営んでいる。そこには小粋だが懸命に生きている女たちが出入りしていた。「糸玉」の暖簾をくぐる人々の切なくて心温まる八つの物語。【収録作品】玄冶店/虫籠窓/鈴虫/残菊/ゆず温/女正月/如月/桜雨

  21. 黒く塗れ〜髪結い伊三次捕物余話〜」  2003/09/ 文藝春秋

    小さな幸せをさがす若い二人に、恵みの雨が降りそそぐ。日本橋佐内町の仕舞屋で暮らしはじめた伊三次とお文に男児が誕生。大喜びの伊三次をよそに、初めての子育てに戸惑いを隠せないお文。ますます目がはなせない人情捕物帳!第5弾。【収録作品】蓮華往生/畏れ入谷の/夢おぼろ/月に霞はどでごんす/黒く塗れ/慈雨

  22. 桜花を見た」  2004/06/ 文藝春秋

    日本橋「いせ辰」の手代、英助には誰にも言えない秘密がある。それは北町奉行、遠山左衛門尉景元の落し胤ということ……。表題作ほか、葛飾北斎の娘応為、蛎崎波響に材をとった「酔いもせず」「夷酋列像」など、充実の傑作中篇集。

  23. 卵のふわふわ〜八丁堀喰い物草紙・江戸前でもなし」  2004/07/ 講談社

    煮炊きの煙は、人の心を暖める。 夫との心の行き違いは、食い道楽で心優しい舅(しゅうと)に、いつも扶(たす)けられる。 「のぶちゃん、何かうまいもん作っておくれよ」喰い物覚え帖に映し出された心模様。 蓋を開けりゃ、埒もないことの方が多い黄身返し卵。はかない色と味の淡雪豆腐。別れは水雑炊。走りの食べ物としても乙な心太(ところてん)。1個ずつしかできない卵のふわふわ。「無用の用でございますよ」のちょろぎ。

  24. 憂き世店 松前藩士物語」  2004/10/ 朝日新聞社

    蝦夷松前藩士の相田総八郎はお国替えために浪人となり、妻なみとともに江戸・神田三河町の徳兵衛店に移り住む。帰藩をめざし、傘張りや大工仕事などに勤しむ総八郎と彼を健気に支えるなみ。やがてなみは総八郎の子を身ごもるが……。若い二人をあたたかく見守る個性豊かな裏店の住人たちが織りなす人情味あふれる長編時代小説であり、苦難の浪人時代から帰藩を果たすまでの十数年に及ぶ夫婦の成長物語でもある。

  25. 君を乗せる舟〜髪結い伊三次捕物余話〜」  2005/03/ 文藝春秋

    伊三次が仕える不破友之進の息子、龍之介が元服して見習い同心に。同じ頃、江戸の町には乱暴狼藉を繰り返す無頼派の影が……。江戸の町をさわやかな春風が吹きぬける。

  26. たば風 蝦夷拾遺」  2005/05/ 実業之日本社

    幕末維新の激動期、蝦夷地に生きる女の情愛を描く珠玉の時代ロマン。 充実期の著者が郷里北海道を舞台に綴った力作の短編六編を収録。

  27. 無事、これ名馬」  2005/09/ 新潮社

    男の道を学ぶため、泣き虫弱虫の武家の長男が弟子入りしたのは町火消「は組」の頭取だった!火の手が上がれば、自分の命と意地をかけて火事場を収める火消たちの生き方に触れるうち、少年は大人への一歩を踏み出していく……。地に足をつけて生きる江戸っ子の逞しさが爽やかな読後感を残す、連作時代小説の傑作。

  28. ひょうたん」  2005/11/ 光文社

    天の神さんは、あたしたちを試したのかもしれない……。のんきな亭主と勝気な女房。ふたりが営む小道具屋を舞台に情趣ゆたかに描かれる、江戸に息づく熱い人情と心意気。表題作ほか5編を収録。

  29. アラミスと呼ばれた女」  2006/01/ 潮出版社

    安政三年。坂の町、肥前長崎。鎖国政策が取られている日本で、長崎の出島だけが唯一、世界に開かれた窓だった。十歳になるお柳は、その出島で通詞をしている父・平兵衛の横で、少しずつフランス語を覚えていく。出島は女人禁制。しかし、お柳(アラミス)はフランス語通詞への憧憬をひそかに抱いていく。榎本武揚と共に幕末を生きぬいた男装の通訳の数奇な運命。

    私はこの本を読むまでは榎本武揚が命を全うしたことを知らなかった。

  30. 三日月が円くなるまで 小十郎始末記」  2006/04/ 角川書店

    刑部小十郎の仕える仙石藩と、隣接する島北藩は、かねてより不仲であった。仙石藩藩主・義敬が、江戸城内で起きた桧事件で島北藩に顔を潰されたのをきっかけに、正木庄左衛門は、藩主の汚名をそそぐべく御長屋を飛び出し、中間として島北藩の江戸藩邸にもぐりこんだ。義憤にかられて暗躍する剣豪の朋輩とは対照的に、その助太刀をいいつけられた小十郎は、小道具屋「紅塵堂」に寄宿しながら、そこの一人娘ゆたや雲水の賢龍らとともに、のんびりと町屋暮らしを堪能していたのだが…。

  31. 聞き屋与平 江戸夜咄草」  2006/05/ 集英社

    日暮れの両国広小路。商家の裏手口から男が現れる。深編み笠に、着物の上には黒い被布。置き行灯をのせた机と腰掛け二つ。一つは男が使い、一つは客のためのもの。男は黙って話を聞く。ただ聞くだけだ。が…。おもわず語ってしまう胸のうち。誰かに聞いて欲しかったこの話。江戸・両国。人の心の機微を描く連作時代小説。

  32. ひとつ灯せ 大江戸怪奇譚」  2006/08/ 徳間書店

    山城河岸の料理茶屋「平野屋」の隠居・清兵衛は53歳。家督をゆずったものの、暇をもてあまし、伊勢屋甚助の誘いで「話の会」という集まりに顔を出し始めた。作り話でない怖い話を持ち寄って酒を酌み交わし……。

  33. 恋いちもんめ」  2006/09 幻冬舎

    江戸・両国広小路。年頃を迎えた水茶屋「明石屋」の娘・お初の前に、何の前触れもなく現れた若い男。彼女の見合い相手と身を明かす青物屋「八百清」の跡取り息子・栄蔵に、お初が淡い恋心を抱き始めた矢先、事件は起こった…。

  34. 雨を見たか〜髪結い伊三次捕物余話〜」  2006/11 文藝春秋

    伊三次とお文の目下の心配事は少々気弱なひとり息子伊与太の成長。いっぽう、無頼派の調べに奔走する不破の息子龍之進のまわりではいろいろな事件が起きて…。ますます目がはなせない人情捕物帳。

  35. 夕映え」  2007/10/ 角川書店

    江戸の本所に「福助」というおでんが評判の縄暖簾の店があった。女将のおあきは、元武士で岡っぴきの亭主と息子の良介、娘のおてい、そして常連客たちに囲まれて、つつましいが、幸せな暮らしをしていた。しかし、江戸から明治に代わる時代の大きな潮流に、おあきたち市井の人々もいやおうなしに巻きこまれていく。そしてついには、息子の良助が彰義隊に志願してしまう……幕末・江戸の市井に生きる人びとの人情と心の機微を描き切る、著者渾身の傑作時代長篇!

  36. 晩鐘 続・泣きの銀次 」  2007/11/ 講談社

    小間物問屋・坂本屋銀佐衛門こと銀次も40歳、不惑の年を迎えた。殺された妹と同じ名のお菊を助けたことから、再び十手を握って、江戸市中を騒がす娘拐かし事件の解決に乗り出す。死人を見ると涙が止まらない、かわった岡っ引き・銀次復活。10年の時を経て、不惑の銀次が拐かし事件に乗り出す。ご存知、人気捕物長編。

  37. ウエザ・リポート」  2007/12 PHP研究所

    1997年〜2007年に新聞・雑誌等に書かれたものを集めたエッセイ集。

  38. 我、言挙げす〜髪結い伊三次捕物余話〜」  2008/07 文藝春秋

    奉行の不正を告発し閑職に追われた朋輩の義父。自分ならどうする、と懊悩する不破の息子・龍之進は武士の矜持について考えるが……
    不破龍之進ら「八丁堀純情派」の朋輩達も番方若同心となり後輩もできた。だが奉行所内の諸事情に通じるにつれ、若く潔癖な龍之進は思い悩むことも増えてくる。そんななか朋輩の1人、古川喜六に縁談が持ち上がる。妻となる女性の父親は、かつて奉行と与力が大名家から寄進を受けていたことを告発し、閑職に回されていた。近年頻発する内部告発事件を思わせる表題作に加え、伊三次とお文、弥八とおみつの2組の夫婦の情愛や龍之進の恋を描いた作品など全6篇を収録。そして最後に主人公たちの運命を揺るがす驚愕の事件が待ち受けています。

  39. 深川にゃんにゃん横丁」  2008/09 新潮社

    お江戸深川、長屋が並ぶ「にゃんにゃん横丁」は、その名の通り近所の猫の通り道。のんびり暮らす猫たちを横目に、雇われ大家の徳兵衛は、今日も店子たちの世話に大忙し。けれども無病息災、茶でも飲みつつ猫に煮干をやれるなら、こんな日々も悪くない――下町長屋の人々をあたたかく描き出す、待望の連作集。

  40. おはぐろとんぼ 江戸人情堀物語」  2009/01 実業之日本社

    堀の水は、微かに潮の匂いがした。静かな水面を揺らす涙とため息の日々に、ささやかな幸せが訪れるとき? 下町の人情を鮮やかに映す感動の傑作短編集。

  41. 富子すきすき」  2009/03 講談社

    吉良上野介は優しい夫だった――還暦を過ぎた富子が振り返る、「松の廊下」一件以来の悪夢の日々。一途に想う江戸の女たちを描く。

  42. 寂しい写楽」  2009/07 小学館

    寛政3年、改革令に触れて、版元の耕書堂蔦屋重三郎は身代半減の刑を受けた。それでも蔦屋は、幕府の倹約令に反旗を翻すように、多色の雲母摺りで歌舞伎役者の大首絵刊行を試みる。絵師に選ばれたのが、東洲斎写楽。本業は能役者で斉藤十郎兵衛という男だった。大量出版のため、助っ人に借り出されたのが、山東京伝と、のちの葛飾北斎と十返舎一九。世間をあっと言わせようという蔦屋一世一代の大勝負だったが……。
    屈指の人気時代小説家宇江佐真理氏が、デビュー前から温めていたテーマに取り組んだ。 江戸の繁栄の狭間に一瞬だけ光り輝いた、奇矯の絵師の真実に迫る渾身の一作。

  43. なでしこ御用帖」  2009/10 集英社

    「なでしこちゃん」と呼ばれる八丁堀の町医者・麦倉洞雄の娘のお紺は、口は悪いが気は優しい、女だてらに捕物好きな孝行娘。だが行く先々でひと騒ぎが起こり……。江戸・八丁堀の四季に彩られた恋と人情の時代小説。『小説すばる』掲載をまとめて書籍化。

  44. 虚ろ舟 泣きの銀次参之章」  2010/01 講談社

    江戸の空を飛ぶ「光の球」。それは幸運の兆しか、凶兆か。
    空飛ぶ舟の目撃談が、「読売り」をにぎわすなかで起きる連続殺人事件。
    実際に江戸で見られた「虚ろ舟」騒動に想を得て、不安な世相を描く、「泣きの銀次」シリーズ第3話となる意欲作!
    講談社創業100周年記念出版

    光の球が江戸の空を飛ぶとき、人々の心は、なぜかざわめく。
    「虚ろ舟」と呼ばれる光の球が轟音を立てて頭上を通り過ぎるのを、銀次は見た。見た人を不幸にする、いや、幸運が舞い込む、とさまざまな噂が江戸の町を駆け抜けていくが、銀次の周囲には、次々と奇っ怪な事件が起こる。ともすれば折れそうになる気持を奮い立たせ、銀次は事件を追うが――。死体を見ると涙が止まらない、風変わりな岡っ引き・銀次、五十路を前に、新たな試練。

  45. 今日を刻む時計〜髪結い伊三次捕物余話〜」  2010/07 文藝春秋

    明暦の大火から 10年、伊三次とお文の夫婦には長女お吉が生まれる一方、伊与太は父の跡を継がずに、絵師になる修行に励んでいた。

  46. 心に吹く風〜髪結い伊三次捕物余話〜  2011/07 文藝春秋

    伊三次とお文夫婦にまたまた難題発生。一人息子の伊与太が修業先をとびだし家に戻ってきた。心配する二人をよそに、奉行所で人相書きを始めるが…。

  47. 古手屋喜十為事覚え」  2011/09 新潮社

    浅草のはずれで古着屋を営む中年男の喜十。女房のおそめと二人、子がないことをのぞけば日々の暮らしにさして不満はない――はずが、たまったツケを取り立てるため、嫌々ながら北町奉行同心を助太刀する破目に。下町の変事を追ううちに、なぜだか人の温もりが沁みてくる。ほろりと泣かせる待望の新シリーズ、登場!

  48. 酒田さ行ぐさげ」  2012/01 実業之日本社

    日本橋の廻船問屋の番頭・栄助の前に現われたのは、以前同じ店で働いていた愚図でのろまの権助だった。権助が庄内酒田の出店の主に昇格したと聞いて驚きと同時に嫉妬の情が湧きあがり……表題作のほか、葬具屋、花屋、夜逃げする呉服屋など、名手がお江戸日本橋に生きる人びとの悲喜交々を描く傑作短篇集!

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